2025 遠州灘釣行記
冨安 隆徳
愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。
【ヒラセイゴ】
今季のSALTシーズンは、ヒラスズキの幼魚 ヒラセイゴ狙いから始めた。
荒磯のサラシに潜むヒラスズキは、遠州灘の伊良湖地区ではこれまで縁遠くハードルの高いターゲットだった。遠浅の海岸線が続く遠州灘では、磯は限られる上に愛知側には太平洋に注ぐ大河川もないとことも影響しているだろう。しかし近年海水温の上昇により海が変化し、サワラの回遊やオオニベの接岸するようになりヒラスズキも珍しい魚ではなくなりつつある。荒天時や一部の岩礁帯ではしばしば釣果が報告され、近年サーフでも50cm以下の個体の回遊があると聞いている。温暖化により遠州灘界隈も年々変化しているようだ。
さてヒラセイゴだが、出会うには少し海が荒れ、朝夕マズメが重なるなど条件付きのターゲットである。セイゴとはいえ40cmを越えると体高もあり、一人前の立派なヒラスズキの姿をしている。ファイトも素晴らしく、ライトなシーバスタックルならば充分楽しめるため人気の魚なのだ。
【タックル】
今回は磯のサラシでヒラセイゴを狙うため、7~9cm前後のシンキングペンシルかミノーを用意した。具体的にはチェリーブラッドLL70SやLL90Sやウェイビー85Sなどである。ロッドは飛距離が必要なためブローショットボロン BSB-103SF。ラインシステムはPE1.0号に20lbのショックリーダーを結んだ。
【サラシを攻める】
ヒラセイゴ狙いなので海が荒れ気味なのが前提だが、期待通り現地にはいいサラシが出ていた。既に3名の先行者が釣りをしていたので我々はその隣に入らせてもらった。時刻は15時過ぎ。16時の満潮前後の夕マズメの釣りを開始した。
隣の釣り人は既に上げ潮でヒラセイゴを獲っていた。ルアーは7cm前後のシンペンかミノーのようだ。我々もこれに続けと沖の沈み根の後方に発生するサラシにルアーを打ち込み、岩の後方やワンドになったサーフのサラシを丁寧に攻めて反応をみていく。
【状況変化に対応して】
しばらくは反応がないまま潮位は上昇し、満潮を迎える頃には頭を出していた岩も水没し、魚の着き場も変化しているように思えた。そこで上げ潮で岸に寄ったベイトについたヒラセイゴを狙い、ウェイビー85Sでシャローにアプローチしていった。
沖から岸際まで丁寧にルアーを通し、スローリトリーブで探りを入れると、手前の岩の辺りでウェイビーにバイトがあった。当然ヒラセイゴだと思ってやりとりを始めたが、激しく暴れる様子がない。違和感を覚えた瞬間、水面に姿を見せたのはヒラメ。足元までサラシが打ち寄せる状況なので、少し強引に岩にずり上げランディング。リアフックが蝶番に掛かり、腹のフックは上顎を貫き、魚には充分アピールできていたようだ。
サラシの中でよくぞここまでしっかり喰ったものだ!
この魚の貪欲さに驚かされた。
周囲では先行者を含め全体でヒラセイゴが数尾と2尾のヒラメが釣りあげられていた。磯場で荒れ気味の海ということもあり、当たりも遠のいた日暮れ過ぎにポイントを後にした。
【北西の風】
10月から始まった磯場のヒラセイゴは、朝夕マズメを中心に釣果が報告されていたが、本格的な大型青物やマダカのシーズンはまだこれからのように感じられた。やはり季節の進行の遅れによる高水温が影響しているのだろう。ベイトの接岸と水温低下を促す北西の風が欲しいところだ。
待望の北西の風は10月末に吹いた。すると先端から静岡県の県境までの広範囲で、ヒラスズキ、ヒラメ、マゴチからオオニベに至るまでの釣果情報が次々と届いた。
やはり北西の風だよな!
いいよいよ遠州灘にも本格的なSALTシーズンがやって来た!
【11月上旬】
しかし期待とは裏腹に冬型の気圧配置は安定せず、次の北西風は11月上旬まで待たされることとなる。天気予報では久しぶりの北西の風が吹くようだ。そこで夕マズメに満潮を迎える上げ潮狙いで先端地区に入る釣行スケジュールを立てた。
【直近の情報】
現地の仲間から得られた近頃のパターンは次の通りだ。
ベイトを追って朝夕を中心にヒラセイゴとアブコ(ワカシ)に65cm前後のマダカが混じるとのことだった。肝はベイトで餌次第のようだ。
【北西の風とウネリ】
現地に着くと予報通り北西の風が吹いていたが、予想外なのは南方で発生した台風によるウネリだった。その影響で南向きの外洋の海岸線には、沖からウネリが入り、波打ち際はサラシとともに濁りが出始めていた。夕マズメまではサーフエリアでヒラメを探ろうと思っていた私にとっては悩ましいウネリだ。仕方なくウネリの影響を受ける外洋側は諦め、湾口付近で北西の風に吹かれて接岸するベイトや沖の鳥の動きを確認しながら、時合を待つことにした。
【夕マズメ】
時刻は15時。北西の風は引き続き吹き続けた。だれも居なかった釣り場も、日没が近くなるにつれ徐々に釣り人で賑やかになってきた。少し沖にはベイトの接岸を知らせる鳥山があり、波打ち際でしきりに水面に降りて餌を取っている。
北西の風は期待通り魚たちの活性をあげてくれた。
期待は高まっていった。
【伊良湖スタイル】
さて先端地域では、バイブレーションによるマダカやブリの実績が高く、サーフでも普通にバイブレーションを引いている。強い北西の向かい風の磯で釣りを強いられるなかで確立された攻め方なのだろう。飛距離が確保でき、糸ふけの厳しい状況下で狙いのコースを引きやすいことが理由だろう。
この日の夕マズメは、北西の向かい風の中での釣り。まさに伊良湖スタイルで臨むための状況であった。ベイトは確認できなかったが、ターゲットも中型なのでルアーサイズを大きくする必要は無かった。そこで手持ちの中で飛距離が出て、水噛みの良いルアーは何か?と考えたとき、バイブレーションのベイブル90Sと90HS、ヘビーシンキングミノーのルーディッシュが頭に浮かんだ。念のためこれにサラナ147MAX/SRとハルカ160S/Fのミノーを加えポイントに入っていった。
【タックル】
ポイントに入り最初に選んだルアーはヘビーシンキングミノー ルーディッシュ。95mmで40gとヘビーウエイトながら、しっかり水を掴み、キビキビ動くこのルアーは、今日の状況でもしっかり魚達にその存在をアピールしてくれるだろう。
ロッドはここでもブローショットボロン BSB-103SF。しかしこのポイントは思わぬ大物の回遊も考えられるため、PE1.2号にショックリーダーは35lbと不測の事態を期待してラインを少し太くした。
【岸際の深みで】
ポイントは北西の風を正面に受けながら左から沖のウネリが差してくる状況。一面にサラシが広がるが、沈み根の間には溝があり、磯にも変化が見られる。比較的水面が安定したポイントを選び、早速沖の沈み根のサラシにキャストを開始して数投目。左からの波を受けて右に流されたルーディシュが沖のサラシの中でターンし、岸際の磯周りの深みを通過した時、ガツンという強い引き込みとともにラインが水中に突き刺さった。岸際の岩陰に潜んでいたようだ。弱めのドラグ設定によりズルズルとラインが引き出されていく。冷静に魚の動きを確認しながら徐々にドラグを閉め込み、底に張り付こうとする魚に主導権を渡すことなく浮かせにかかる。磯にラインを取られないようにロッドを高くかざし、手早くラインを巻き取り徐々に魚を浮かしていく。エラ洗いを避けるためサーフではすぐに浮かせることはしないのだが、ここでは根ずれのラインブレイクを避けることが最優先。足場の悪いポイントで魚の強い引きに堪えながら水面に浮かせ、そのまま半ば強引に寄せ波に乗せて岩にずり上げていく。
水面に姿を見せたマズマズのサイズのマダカは、そのまま寄せ波に乗って岩の間に姿を消した。波を確認しながら素早く落ち込みに移動し、ショックリーダーを掴んで魚を引きずり出し、素早くハンドランディングして魚体を確保した。
【伊良湖のマダカ】
この荒磯で喰ってきたのは、良く肥えた体高のある銀ピカの伊良湖のマダカであった。65cm前後が混じると聞いていたが、それを遥かに超える75mのグッドサイズ。北西の風とベイトの接岸、夕マズメに潮位等の条件が重なったことで出会わせてくれた今季初のマダカ。
やはり遠州灘の北西の風は、やはり魚の活性をあげてくれた。
改めてそのパターンを実感させてくれた一尾であった。
【これから】
ようやく北西の風が吹き始めた遠州灘。まだ大型青物やマダカはサーフエリアに姿を見せていないが、ヒラメは好調に釣れているようだ。また今季はサゴシが静岡側の遠州灘で好調のようで、私も魚を追い回すサゴシ確認しており期待が持てる。
冬型の季節配置が安定し、水温が下がる11月後半から年末にかけて、大型の魚が多数接岸することを願いながら、その様子を見届けたいと考えている。
ヒラセイゴ
Rodスミス ブローショットボロン BSB-103SF
Reelシマノ ステラ4000XG
Lureスミス
ウェイビー85S
チェリーブラッドLL90S
ルーディッシュ
ベイブル90 90HS
ハルカ125F/S
パニッシュ120SW
サラナ125F
チェリーブラッドMD90S
Lineヨツアミ G-soul WX-8 1.0号
Shock Leaderバリバス ナイロン 20lb
Landing Toolスミスグリップ2700
北西風対策
Rodスミス ブローショットボロン BSB-103SF
Reelシマノ ツインパワーSW 4000XG
Lureスミス
ルーディッシュ
ベイブル90S 90HS
ハルカ145F/S 165F/S
パニッシュ120SW
サラナ147MAX 147SR
Lineヨツアミ G-soul WX-8 1.2号
Shock Leaderバリバス ナイロン 35lb
Landing Toolスミスグリップ2700
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