キングジミーヘンジ開発秘話 第2章

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キングジミーヘンジ開発秘話 第2章
キングジミーヘンジ開発秘話 第2章
パーツデザイン&マテリアル編
こんにちは、ジャッカル・ジミーシリーズの開発を担当しています横山朋毅(よこやま ともき)です。
前回のコラム第1章では、キングジミーヘンジのコンセプトと開発開始~テスト初期段階の裏話をお話ししました。
今回のキングジミーヘンジ開発秘話第2章では、初期プロトをテストした事で発覚した問題点、問題点を改善し現在の製品版に至るまでのアップデートの歴史を振り返っていきます。
キングジミーヘンジの初期プロトはテスト当初から開発者の私の狙ったとおりのカバーやストラクチャーに絡めたスローな釣りでビッグバスを連発し、上々の滑り出しを見せてくれました。
しかし、使い込んでいくうちに致命的な2つのウィークポイントが気になりだします。
◆回収中の回転のしやすさ
1つはノーシンカー及びネイルリグでの回収中の回転のしやすさ。
5本のアーム先端を縦扁平にして更にそれぞれの間に細い補助アームを追加したことで水圧を受ける部分が増え、結果的にある一定以上のスピードでバランスが崩れ回転が始まりラインがヨレてしまいました。
スローなアクションで各パーツがよく動く様にとデザインした事が仇となりトラブルに繋がるというジレンマ…、しかしこれはある偶然からすぐに解決します。
いくつか作った仕様の違うプロトの中でより自発的な動きを狙い、アーム先端の縦フラット部分を外側に反らせたモデルを試してみると各アームが水圧を受けてウネウネと動き、なおかつ回収中の回転が何故か完全に解消。
狙ったワケではない副産物的なことなのですが、アーム部に更に水圧を受け後方に引っ張られる形になった事で整流効果を持ち、結果的に回転を押さえる事に成功しました。
◆針持ちの悪さ
もう1つの問題点は針持ちの悪さ。
開発中盤までのキングジミーヘンジを構成するマテリアルは通常のワーム素材(塩入りでやや高比重なもの)で、約10gもある本体に付いたフックセット用の突起に大きめのマスバリタイプのフックをチョン掛けするスタイルなためにバスとのファイト中の身切れによる消耗が激しく、場合によってはキャストの勢いだけで千切れて飛んでいってしまうこともありました。
その時点で既に非常によく釣れる物に仕上がっているのにも関わらず、これでは余りにもストレスが多く、とてもではありませんが製品化できません。
身切れを防ぐには素材に伸びがあり、丈夫なエラストマー製にすれば完全に解消するのは分かっているのですが、エラストマーは浮力が高過ぎてステイ時にアームが水に漂うような自然なアクションが出せず、なおかつノーシンカーやネイルリグで単体で扱うのも難しくなります。
そんな時にジャッカルの自社工場から『塩入りのエラストマー素材を使ってみませんか?』との打診がありました。
早速工場で試作していただき、それを使ったテストに赴くと何と11月にも関わらず45~50アップのバスが大量乱舞する釣果を上げることができたのです。
そのプロトモデルは非常に柔らかく、かつ身切れを起こさず、比重が最適化されたことで水中でアーム部が漂う動きも良く、少し引いたりフォールさせたりする時のうねるようなシェビーアクションもワーム素材の時よりも完全にパワーアップ。
11月末の次のテスト釣行では3kgに迫るビッグバスもキングジミーヘンジの塩入りエラストマープロトで釣る事ができ、この素材を採用することでの優位性をあらためて認識。
ただしネイルリグでのシンカーの刺し難さが気になったので、製品版ではフックセット用の突起の中央からボディー内にネイルシンカーを容易に刺せるようにホールを設けることにしました。
こうして妥協無く完成に至ったキングジミーヘンジ。
開発者である自分自身は鋭く尖ったコンセプトを持つオリジナルのジミーヘンジと比べて、塩入りエラストマーの素材特性とデザインが相まってより多くのアングラーにとってわかりやすい本来のワームらしいソフトベイトに仕上がったと感じています。
次回、キングジミーヘンジ開発秘話第3章では気になるリギング・セッティング例や実際のシチュエーション別の使用法、ベストな状態で使用・保管する上での注意点等を解説させていただきたいと思います。

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