磯釣り師・北村憲一 五島列島の巨大ヒラマサに挑んだ奇跡の2日間。

Gamakatsu

磯釣り師・北村憲一 五島列島の巨大ヒラマサに挑んだ奇跡の2日間。
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五島列島の
巨大ヒラマサに挑んだ
奇跡の2日間。
アテンダーⅢ vs 115cm 12kg
2024年 秋
北村憲一に課せられたのは “がま磯アテンダーⅢ2.75号でヒラマサを釣る”ということ。
釣行は11月中旬、これも時化で10月末の予定を延期しての釣行だった。五島列島のヒラマサと言えば、ボイルオキアミを撒いて、寄せて浮かせる釣りが磯釣り師の定番で、中でも上カゴ仕掛けで狙うのが一般的だ。しかし今回は、アテンダーⅢを使ったフカセ釣りでの挑戦。磯釣り師・北村憲一の闘志が静かに燃えていた。
がまかつテクニカルインストラクター
北村 憲一 (きたむら けんいち)
四国西南部のデカ尾長ハンター。尾長グレの自己記録は沖ノ島の二並島・東のハナで仕留めた65.5cm。北部九州や山陰のヒラマサ釣りにも精通し、これまで仕留めたヒラマサの自己記録は95cm。師匠は松田稔。名釣会会長。
これは奇跡ではない。「北村憲一」という男と「アテンダーⅢ」という竿がみせてくれた紛れもない実力。
釣行初日、美良島(びりょうじま)の西のワンドに渡った北村。まだ夜が明けぬ薄暗い時間は暖かいコーヒーを沸かし、燃える闘志を落ちつかせ、アテンダーⅢと予備で持って行ったヒラマサ天剛Ⅱに仕掛を組む。アテンダーⅢには繊細なウキフカセ仕掛、ヒラマサ天剛Ⅱには定番となる上カゴ仕掛をセットした。
少し明けてきたマズメの時間からボイルオキアミを絞って撒くと、イサキやグレやイスズミが乱舞するが、ヒラマサの姿は見えない。
1時間ほど撒いた頃だろうか、北村が、「あれ、たぶんヒラマサやと思う」
北村曰く餌取りとヒラマサでは、撒き餌への出方が違うのだとか。
「餌取りは『ぱちゃっ』と出るけんど、ヒラマサは『もわっ』と出るんよ」
そういわれ、改めて海面を見ると明らかに出方が違う。さらには、波紋だけでなく背ビれを出してゆうゆうとボイルを捕食しだした。
しかし、見えているヒラマサが明らかに大きい。当初想定していた60~90cmをはるかに越え、1mどころか目測で110cm10kgを越えてそうだ。さすがに、アテンダーⅢで獲るにはあまりにも大きすぎるのでないかと撮影スタッフを戦慄させた。
そこで、北村が手にしたのはヒラマサ天剛ⅡHタイプのタックル。道糸12号、ハリス12号に上カゴを付け、鈎から50cm離した位置に3Bほどの浮力のアタリウキを付ける。仕掛は定番となっている2本鈎仕掛でV2ヒラマサの13号と10号セットしている。
出典:釣りビジョンG WORLD
付け餌は1つの鈎に抱き合わせで2匹付けるのが主流だ。
魚がボイルオキアミに夢中になり、乱舞するタイミングを見定めて、その5mほど沖へ投げ込む。着水したら竿を1回大きく煽り、カゴの中の餌を出し、糸を張って付け餌をなじませる。本来であれば、後はウキが沈むのを待つばかりのはずであった。しかし、連日磯師に叩かれ続けてスレているのであろう、カゴが着水するやいなや、ヒラマサが散ってしまった。それも一度散ると5分ほど姿を見せない。もう一度同じように乱舞するタイミングで仕掛を投入するが、すぐに散る。投げ込むタイミングや位置もずらすなど、色々と試すが、どこへ投げても、カゴが海中へ入ると、ヒラマサが出てこなくなる。
「相当スレちゅうな。カゴを顕著に嫌がっている。魚はかなりでかいけどアテンダーに持ち替えようか」
そういってアテンダーⅢ2.75号に持ち替えた。道糸・ハリスともにブラックストリーム8号の通し仕掛で、飛ばしウキに松田ウキの松遊Lの3Bを付け、鈎から50cmの位置にアタリウキを付け、仕掛はV2ヒラマサ13号と10号の2本鈎にした。
出典:釣りビジョンG WORLD
だが、北村はすぐには投げない・・・・。
先ほどカゴを投げて散ったヒラマサを寄せるために餌だけをしばらく撒き、仕掛を投入する最高のタイミングを見計らっている。
昼前の下げ潮が少し緩んだタイミングだった。仕掛を入れず、ボイルを撒き続け、餌取りが静かになり、ヒラマサの警戒心が解けて活性が一瞬上がった。北村はそのタイミングを見逃さず、ボイルに乱舞するヒラマサに寸分狂わず仕掛を投入し、撒き餌になじませた。次の瞬間、アタリウキが沈み込み、松遊までも海中に引き込まれた。そして、北村の鋭いアワセが決まった。アテンダーⅢ2.75号が大きく弧を描き、疾走する巨大魚にドラグが悲鳴を上げる。見えていたでかい奴が喰ったのか、凄まじい引きだ。
疾走が止まらない中、じわじわとドラグ値を上げ、プレッシャーをかけていく。あわやスプールからラインが無くなるかというところで、ファーストランが止まった。そこからは、アテンダーⅢ2.75号の強靭な粘りで浮かせにかかる。竿尻を腰に当て、一定の角度でためて、竿が起きてきた分だけ、リールを巻き取る。まるで教科書のようなファイトで着実に魚との距離を縮める。
しかし、竿と糸と鈎で繋がった先には紛れもなく、大マサが掛かっている。その抵抗はこの程度で終わるわけはなく、手前に寄って来るやいなや、次は左のハエ根に向かって突っ込む。しかし、これもレバーブレーキで対応せず、ドラグと竿の角度でいなすのだ。
「ヒラマサは初期ドラグは少し緩くして、沖に走りよるときにじわじわ締め込むんよ。レバーブレーキで対応していたら止められん。そして、手前に寄って来たら、また少しドラグを緩め、急な突っ込みにも竿の角度で対応できるようにするとだいたい獲れる」
そう解説しながら、左のハエ根をかわすと、次は右のオーバーハングに突っ込む。1mをゆうに超えているであろうヒラマサは一筋縄では上がってきてくれない。竿を前に突き出し、バットのパワーでやり過ごし、良いポジションに魚が来た。ここで北村は勝負に出て浮かせにかかる。
水中で平を打つ魚体が見えた。デカい。
「太いぞこら」
しかし、まだ油断ならない。アテンダーⅢを腰で溜めて慎重に、確実に足元の根をかわしながら浮かせ、タモに魚を誘導する。目測でゆうに110cmは超えている。
タモに入らないのではと思ったが、さすがはデカ尾長で百戦錬磨の北村である。巨大ヒラマサの頭を綺麗に誘導してタモの中に収めた。
周りで見ていたスタッフには30分にも1時間にも感じられる長いファイトに思えたが、時計をみるとなんとわずか8分しか経っていなかった。ルアーや6号竿のカゴ釣り仕掛とそん色ないほど短いファイトである。
これは北村の腕がなせる奇跡だろうか。それとも北村の腕とアテンダーⅢに秘められた実力だろうか。いずれにしろ、道糸8号ハリス8号という細仕掛で獲り込めてしまったのは事実である。巨大ヒラマサとの激闘は北村の勝利となった。
「太いがや、このヒラマサ!」
計測の結果は115cm、11kg。
北村憲一の自己記録を20cmも更新するメモリアルフィッシュとなった。
「アテンダーⅢの2.75号でこのサイズが獲れるとは思わんかった。正直、途中までは90cmぐらいや思いよたら、どえらいもん釣ってしもたが」
膝に乗せたヒラマサの迫力は圧巻であった。
しかし、本釣行はこれだけでは
終わらなかった・・・。
釣り人の聖地
五島列島で狙うヒラマサ釣り
釣り人なら、誰しも一度は釣ってみたいと思う憧れのターゲットであるヒラマサ。近年はロックショアと言って磯からルアーで狙うアングラーも増え、渡船屋の船長もお客さんの7割がルアーマンと言うほどだ。
そんな中、根強くファンが残っているのがオキアミのボイルを使ったヒラマサ釣り。なぜ根強いファンがいるかというと、その釣果と釣り味が魅力的なのだ。ルアー釣りはあくまで、回遊してくるヒラマサや居着きのヒラマサを狙うが、ボイルで狙うヒラマサは自分のポイントにおびき寄せたヒラマサを、目の前に長く留めて狙うことができる。時にはツ抜けも普通なほど好釣果が望めることもあって、今でも秋のシーズンになると磯は休まる暇もないくらいヒラマサ狙いの磯釣り師で賑わう。下の写真は人気ポイントの美良島(びりょうじま)、右手前には平島のヘタグロが見える。
一般的には5~6号相当の磯竿に10~14号の道糸やハリスを使った上カゴ仕掛で狙うのだが、皆が皆その仕掛で狙うものだから、当然ヒラマサもスレる。スレるだけならまだいい。ついにはカゴを嫌って魚が出てこなくなるのだから、相当なプレッシャーが掛かっている。
そこで、フカセ釣りという選択肢が生まれるのだ。カゴのような大きな着水音も無ければ、撒いたボイルの中にカゴという異物感も出さなないフカセ釣りは、スレたヒラマサも口を使う。しかし、フカセ釣りとなると、タックルバランスの問題で必然的に4号前後の磯竿に、せいぜい8号までの糸しかセッティングできないという縛りが生まれてしまう。しかし、それゆえ喰うのだ。
ヒラマサの聖地、五島と言えど決して甘くはない日もある。ハイシーズンともなれば人気磯はひっきりなしに人が入る。そんな時はフカセ釣りの選択肢も加えないと釣果ゼロすらありえるだろう。
巨大ヒラマサと一進一退の攻防
釣行二日目、この日は連日好調と聞いていた平島のママコへ上がっていた。北東の風が強く、風裏になる南西向きに釣り座を構えた。数日前に乗ったお客さんが数も釣れている上、大きいヒラマサに何発か切られたという前情報もあって期待が膨らむ。しかし、6時過ぎの薄暗い時間から8時ごろまでボイルオキアミを撒くが、餌取りのイサキやグレがライズするだけで、ヒラマサの姿が見えない。それでも根気よくボイルを撒いていると、潮が少し緩み始め、風でボイルが沖に払い出すように流れだした。すると、沖のほうから『もわっ』とヒラマサ特有の波紋が出て、背ビれを出してボイルをついばみながら、徐々に寄ってくる。
この日は1発目から、アテンダーⅢで勝負だ。風で沖にはらい出したボイルオキアミの奥に仕掛を投げ込み、糸を少し張って付け餌を馴染ませる。しかし連日釣り人が入りスレているヒラマサ。フカセ釣りと言えど一筋縄ではいかない。「あれで喰わんか~」と北村も頭を悩ませつつも、ヒラマサが撒き餌のボイルに夢中になるタイミングを見計らう。
そして、ここぞというタイミングで仕掛を投げ込む。撒き餌に付け餌が馴染んだその瞬間、ウキが海中に消し込んだ。
「喰った!ヒラマサじゃ」
凄まじい勢いで沖に疾走するが、的確なドラグ負荷をかけたまま、竿尻を腰に当てて強烈なヒラマサの引きを竿の胴で溜めこむ。50mほど糸が出ただろうか、沖に疾走していたヒラマサの動きが止まった。ドラグ負荷をあげて、じわじわと魚との距離を詰める。
しかし、残り20mまで寄せたところで、急にヒラマサが左の方へ走り始めた。左方面は北東の風がきつく時化ており、大波が磯を洗い、やり取りも取り込みも危ない。竿を寝かせ、なんとかヒラマサの頭をこちら側へ向かせる。普通に見たら竿がのされているような角度に見えるが、アテンダーⅢの胴は限界領域でこそ真の粘り強さを発揮する。それを知っている北村だからこそ大マサの引きにも的確に対応ができるのだ。再び、正面方向に魚が来たが、1mを超える巨大ヒラマサ、相手も死に物狂いで抵抗する。今度は右側のハエ根に向かって走りだした。しかも先ほどよりも力強く、執念を感じる引きだ。
これにはさすがの北村も、レバーを出さざるをえなかった。この、少しのライン放出が命取りだった。ラインが出たことで、ハエ根の奥に魚が回り込んでしまい、完全に糸が磯で擦れている。右側は切り立っていて立ち位置もかえられない。北村も最適解を探ろうとするが、そんな隙をヒラマサは許してくれず、ふっとテンションが抜けた。根ズレでラインブレイクしたのだ。
「ごめんなさい。ヒラマサが一枚上手でした、今日はもうだめかもね」
と北村は落ち込みかけた。しかし、まだ時合は終わっていなかった。
再びボイルを撒き始めると、すぐにヒラマサが反応を見せる。その姿に北村の闘志が再び燃え上がる。すぐにアテンダーⅢの仕掛を組みなおし、撒き餌に夢中になるタイミングを見計らって、仕掛を投入する。すると、すぐにまたウキが海中へ消し込んだ。しかし、今回はそこまで凄まじい引きではない。
餌取りかと思ったが、浮いてきたのは70cmほどのヒラマサだった
「このサイズなら余裕やったね、でも竿も良い感じに曲がってくれて十分楽しめる」
ヒラマサの活性が全体的にあがったように見え、北村は天剛Ⅱのカゴ釣りタックルへ持ち変える。
「今の感じならカゴでも釣れると思うけんど、見えるサイズが大きいからこっちのほうが安心してやり取りができるからね」
そう言って、カゴに餌を詰め、沖にはらい出している撒き餌の筋上に仕掛を投げ込んだ。
「やっぱ、ダメじゃ。スレすぎてる。あんだけライズしよったのに、浮いてこなくなった。やっぱりアテンダーⅢで獲るしかないか」
こうもカゴを嫌がるか、と仲間や撮影クルーも思うほどにヒラマサが出てこなくなる。細仕掛でさっき根ズレしただけに不安が隠せない。しかしカゴ釣りではヒラマサが出てきてくれない以上、アテンダーⅢで狙うしかないのだ。
アテンダーⅢが曲がり
腕が震える大マサ激釣劇!
午前10時半、下げの潮がかなり緩んできた。前日に北村が巨大ヒラマサを掛けた時間。北村も内心、この潮に期待していたのだろう。心なしか撒き餌を投げる動きが軽快に見える。先ほど投げたカゴのせいで、ヒラマサが射程距離外の沖の方でしかボイルを喰っていない。それを寄せるべく、仕掛は投入せず、ボイルを撒く。さらに、自然に付け餌を馴染ませるために、V2ヒラマサの13号と10号の2本鈎仕掛にしていたのを、13号の1本鈎仕掛に変更した。仕掛を投入せず、10分ほど撒いただろうか。徐々にヒラマサが手前に寄って来た。
「潮の淀みで手前に溜まったボイルが沖に流れ出したら、喰うと思う」
そういって、そのタイミングを見計らい、沖へ払い出したボイル溜まりに仕掛を馴染ませる。誰もが”これは喰った”と思った一投だった。水面直下で、『ギラッ』と青く光ったと同時に、ウキが沖にぶっ飛んだ。北村のアワセも決まり、アテンダーⅢが綺麗な弧を描いた。しかし、これまたデカい。ドラグがけたたましい音を上げるが北村は冷静に対処する。竿の最も強いバット部、いやグリップエンドまで曲げ込んで、その粘りで巨大ヒラマサの体力を奪う。
沖へ疾走するスピードが徐々に緩むにつれ、竿の角度を一定に保ったまま、ドラグノブを回しドラグ負荷をじわじわとあげていく。70mほど糸が出るたところでヒラマサの走りが落ち着くが、ここで無理に寄せようとしない。沖の障害物が少ないところで、竿の粘りを使って魚の体力を奪うのだ。
腰で溜めて、竿が起き上がってきた分だけリールを巻く。そうして沖で弱らせつつ、手前に寄せてくる。今度は右へも左へも走らせない。ヒラマサが走ろうとする気配を事前に察知し、北村が先手を取って魚の頭の向きをかえる。
そうこうしている間に、危なげなくタモ入れ寸前まで寄って来た。海中で平を打つ魚体、これがまたかなりデカい。波が高く、タモ入れも難しいが、なんとかタモ網への誘導に成功した。
「良かった、今度は獲れた」
波が来ない位置まであがり、ヒラマサを計測すると104cm 約9kgだった。
「また、メーターオーバーがか⁉」
この日1発目をバラしてしまっただけに、獲れたのが北村自身も嬉しかったのだろう、安堵の表情だ。
だが、まだまだ続く、北村の激釣劇、こんなものでは終わらなかった。
撮影が落ち着き、釣り再開。
なんと、巨大ヒラマサとのファイトで魚が散ったと思いきや、ボイルを撒くとまだヒラマサが寄って来る。道糸とハリスと鈎が痛んでいないか確認し、ヒラマサがボイルに夢中になる瞬間を見定める。
ここまで4回アテンダーⅢでヒラマサを掛けているが、“一撃必釣“かと思えるほど、北村の観察眼はたけていた。これもデカ尾長の巣窟である、鵜来島・沖ノ島海域でのサイトフィッシングで幾度となく実釣を積んできた賜物だろう。ヒラマサが撒き餌のボイルに狂う瞬間、それを見定めて仕掛を馴染ませる。
104cmを釣った次の一投。またしてもウキが海中へ消し込んだ。すかさず北村がアワセを入れた直後、ウキが海面を切り裂くかのようにとんでもないスピードでぶっ飛んでいった。そして再び鳴り止まないドラグ音。
「またどえらいのが喰うたがや、もう腕が限界や」
そういいつつも、しっかりとドラグを締め込んでいく。5度目のやりとりとなると、北村もとても落ち着いて、やりとりをしていた。そう思いながら竿曲がりを見ていると、竿が妙に震えている。掛かりどころが悪いのか?と思ったが、「これ竿が震えよるんでないぞ、俺の手がぷるぷる震えとるだけやけ(笑)」と北村が笑いながら悲鳴を上げていた。腕が限界を迎えながらも、竿尻を腰に当てて、竿の角度を一定に保ち、胴の粘りで起き上がって来た分だけ糸を巻き取る。
そうして着実に巨大ヒラマサとの距離を詰めるのだ。ヒラマサが反転し、根に突っ込もうとすると、少し竿を寝かし“ジジジッ”とドラグで耐える。
「ヒラマサはレバーブレーキで対応したら、絶対獲れん。全然弱ってくれないし、疾走する勢いも止められない。必ず竿の粘りとドラグで体力を奪わないといけないんよ」
そして徐々に、水中に平を打つ魚体が見えてきた。デカい。ここからは磯際での攻防、魚は見えているが、より一層張り詰めた空気が流れる。油断はできないが着実に距離が縮まっている。
右へ左へ足元のハエ根へ、ヒラマサも抵抗を見せるが、アテンダーⅢ2.75号の強靭なバット部で耐える。巨大ヒラマサが足元へ突っ込むと、北村は竿を突き出し穂先から#2,#3あたりまで曲げてやり過ごす。5mという磯竿のリーチの長さを利用して巧みに瀬際の攻防を征す北村。
そしてついに魚体が水面まで浮いてきた。太い、本釣行で釣れているどのヒラマサよりも太い。仲間がタモを差し出すが、ヒラマサも最後の抵抗を見せる。しかし冷静に竿の角度を調節し、魚をタモに誘導する。
「入った~!」
「これ、太すぎて入らんかと思ったが」
北村も緊張と疲労と喜びで膝から崩れた。
改めて、磯に上がったヒラマサを見ると、とてつもなくデカく太い。V2ヒラマサも綺麗にカンヌキをとらえていた。
計測の結果は初日の115cm11kgよりも太い
「115cm 12kg」であった。
北村のこれまでのヒラマサの自己記録が95cmだったので、今回の釣行ではそれを上回るメーターオーバーが3匹も釣れたことになる。この取材が決まった時には3号にも満たないアテンダーⅢではせいぜい80cmのヒラマサが釣れれば御の字。万が一にもメーターに絡むようなサイズが釣れようものなら、「奇跡」と誰もが思っていた。それが終わってみたら、115cm12kg、115cm11kg、104cm9kgと巨大ヒラマサトリプルキャッチとなった。これはアテンダーⅢの強靭な粘りだからこその釣果かもしれない。
ただ硬いだけの竿では魚が無駄に暴れる。ゴムのような粘り、それが魚の体力を確実に奪う。まぐれではない。「北村憲一」という男と「アテンダーⅢ」という竿がみせてくれた紛れもない実力なのだ。
がま磯アテンダーⅢの底力
それは釣り人にまだ見ぬ夢を
見せてくれるかもしれない。
魚との唯一の接点である「鈎」。
そして釣り人との唯一の接点である「竿」。
この二つと本気で向き合ってきたがまかつの粋を結集したひとつの答えがここにある。
帰港後、鳴り止まない北村の携帯電話。
いち早く朗報を聞きつけた仲間たちからの祝いの電話だろうか。声高らかに話しながら、「お疲れ様でした!また、よろしくお願いします」と気持ちよくハンドルを切って、高知へ帰っていった。

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